ゆうまるらいふ

悩めるサラリーマンの頭の中

妊娠初期に夫が出来ることは、ただただ妻に尽くすことだ

妊娠初期に夫が出来ることは、ただただ妻に尽くすことだ

7月上旬、妊活を初めて約9ヶ月が経ったころ。休日の朝4時、ぐーすかと寝ている僕のところへドタドタと「ちょっとこれ見て!」といつの間にやら寝室から居なくなっていた妻が勢い良くドアを開け大声で駆け寄って来た。

「ふえっ!?」とびっくりして飛び起き、眠気眼をこすりながら目にしたものはくっきりと線が入った妊娠検査薬だった。喜びと寝ぼけた頭と妻を心配する気持ちとがごちゃまぜになりながらも「さっそく今日産婦人科に行かなきゃね」と話をして、とりあえず一旦布団に戻ることにした。

 

今考えると、あの時僕は良いリアクションが出来ていただろうか。正直寝起きで記憶が曖昧というのもあるが、お互い寝ぼけていてあんなに待ち望んでいた妊娠なのに飛び跳ねるほどの感情表現が出来てなかったように思う。

「なにもこんな時間にしなくても」と少し思ったけど、妊娠検査薬は朝起きてすぐに使用するのが一番好ましいとのこと。それに加えて妻自身数日前から「もしかして?」となんとなく思うことがあったそうだ。だからトイレに起きたタイミングで検査してみたらしい。不思議。

 

そして再度起床後に産婦人科へ行った。妻が「妊娠検査薬で出ても子宮外妊娠だったりする場合がある」と不安を煽ることばかり言うので未だ素直に喜べていない状態だったが、無事胎嚢を確認し正式に妊娠が分かると、ようやくお互い一安心してしっかりと妊娠を喜ぶことが出来た。

その後はさっそく本屋へたまごくらぶを買いに行き、妻があまり体調がよく無いということでその日は帰宅した。ゼクシィを買った時もそうだが、この手の本にはやはり無意識に憧れがあるものなか、自分が購入する立場になると少し嬉しくなる。ここまでの地位を獲得できたこういう本ってすごいよな。

 

妊娠が分かって喜んでいたのも束の間、日に日に妻のつわりがひどくなっていった。つわりは人によって症状や時期が違うらしいが、うちの妻の場合は気分が悪くて食事が取れていない。嘔吐しないだけ安心だが食事が取れないのは心配だ。妻も僕も、正直ここまでつわりがひどいとは予想もしていなかった。

つわりの症状でよく聞くのがマクドナルドのポテトなど、ジャンキーなものが食べたくなるというもの。妻がマクドナルドが食べたいと言えば「しょうがないな〜」なんて言いつつ自分もジャンクフードを食べまくり自分の方が太り続ける。そんな妊娠生活になるとわずかに思っていたが、そんな考えはいかに甘過ぎる考えだったことか。

 

妻は食事がろくに取れていないから動く元気が出ない。ましてやこんな真夏の暑い中、気分転換に外の空気を吸うこともままならず一日中クーラーの風を浴びて過ごしている。そんな生活が1ヶ月以上も続いている。そんな状況、特にクーラーが苦手な僕は考えただけでも気が狂いそうだ。

実際妻もだいぶ疲弊しストレスが溜まっている。妊娠も12周目に入り、ようやく少しずつご飯が食べれるようになってきたが、未だつわりと戦っている。

 

妊娠初期に夫が出来ることは、ただただ妻に尽くす他ない。家事を全てこなすことはもちろん、食べれそうな物、飲めそうな物があれば仕事終わりだろうがなんだろうがすぐ買いに行く。自分はと言うと、妻が買ったけど食べれなかった物、家に残ってしまっている材料を消費する日々。においにも敏感になってしまっている為、料理をする際は全力の換気扇、すぐさま食事を2階へ持って上がり一人で食事を済ませる。

たまたま妻のつわりが始まる前に食材を買い込んでいたばかりだったのでこれがまた困った。一人だととても消費するのに時間がかかるのだ。消費スピードが追いつかず、少々賞味期限が切れたものばかり使わざるを得ない。

妻がコストコで買った大きなキムチも「冷蔵庫にあると臭いから早く食べて」と急かされる。普通に食べるとさすがに飽きるので、調理をすると匂いが広がり「くさい!」と怒られる。理不尽。ただその代わり、残り物ばかり消費しているので食事代はとても浮いた。

 

妻の妊娠中に何が一番大変かというと妊娠の辛さは代わってあげられないこと。子供が産まれてしまえば「今日は一日僕が面倒を見るから」と代わってあげれるだろうが、妊娠中はそうはいかない。ただただ出来ることをして、ストレスを溜め込んでしまわないようメンタルケアをするしかない。

生活すらままならず何も出来ない妻を差し置いて好き勝手遊びまくる訳にもいかない。世の中には変わらず好き勝手する人もいるのかもしれないけど、僕はそんなことが出来る性格でもなければ、我が家のパワーバランスでは恐ろしくて出来るはずもない。ビールを飲むのだって妻の機嫌を伺わねば。

まあそんな冗談()を言いつつも、僕は心配性すぎる性格なので何かあってはと不安になり、結局妻を放って遊びまくるのも好き勝手行動することも出来ないのだ。

 

唯一僕は自律神経を乱しやすく、この夏の暑さとクーラーのせいで身体の不調を感じていたので妊活の為禁止にしていたサウナを解禁し、今は週一で行かせてもらっている。それだけあれば僕の人生は豊かになる。サウナ最高。

 

特に今つわり真っ只中の妻は妊娠の喜びよりも圧倒的につわりのストレスが大きい。時にはイライラをぶつけられることがあるが、そりゃそれだけ毎日毎日体調不良が続けばイライラするのも当たり前だ。そう分かっていてもそのイライラをぶつけられるとこっちもいい気はしないので、ぶつかってしまう自分に反省する。

 

もし僕が悟りを開いた人間だったら、もっとおおらかに妻のイライラを包み込めただろうか。妊娠中無力な夫が出来ることは、その境地に行こうと努力し、妻に尽くすことなのかもしれない。まだまだ長い妊娠生活、いつこのつわりが終わってくれるのか分からない。まだまだ妊娠生活は始まったばかりだし、子供が産まれるとさらに忙しくなるだろうし。まだまだ戦いは始まったばかりだ。